今回の雪山堂の『小さな美術館』は木版画特集です。 木版画(もくはん)は下絵を描く絵師と、木版画の原板となる版木を作る彫師、そして版木に刷毛で色を載せ馬連で和紙に絵柄を摺りこむ摺師の三者の技術の粋を尽くし仕上げます。 木版は印刷用として木の板に文字や形象を彫刻して製版したものや、そこから摺られた印刷物のことですが、凸版という版種で、和紙と水性顔料を材料として使います。他の版種は顔料が紙の上に載っている状態ですが、木版は和紙の繊維の奥深くまで染み込まれ、その顔料が発する鮮やかで深みのある発色表現が特徴です。 木版画の技術は飛鳥時代に中国大陸から仏教や製紙技術と共に伝来したと言われています。その後は時代の中心地が場所を移すたびに、様々に形を変えながら発展しました。 現在雪山堂では『小さな美術館』と題して、下記の作家の版画を展示販売しております。無くなり次第終了ですので、ご覧になりたい方はお早めにお越しください。

加藤晃秀 『おぼろ』

加藤晃秀『輝』 加藤晃秀:京都生まれ。京都市立鼻汁大学日本画科卒業。デザイン工房を設立。独自のタッチの『粋画』を創案、白と黒を基調にした大胆な構図の作品、京の四季の風情を静寂の中に華麗な色彩で描く作品が各地での個展で注目を得る。

伊藤若冲『牡丹』 伊藤 若冲は、近世日本の画家の一人。江戸時代中期の京にて活躍した絵師。 写実と想像を巧みに融合させた「奇想の画家」として曾我蕭白、長沢芦雪と並び称せられる

河原崎奨堂『ツワブキ』

河原崎奨堂『ラン』 河原崎奨堂。明治22年生まれ。幼少より画を好み、竹内栖鳳門下の芝原希象に学ぶ。細密優美な独自の日本画の境地を開拓した。 一方染め織作家 山本雪柱に師事し、繊細華麗な友禅模様の研究も従事した。

笠松紫浪『潮来~水郷の娘』

笠松紫浪『夏の夜』 笠松紫浪 明治31年生まれ。14歳で鏑木清方に日本画を師事。大正8年に渡邊版画展より初めての新版画作品を刊行。日本各地の名勝、農村の風景を題材とし、没するまで旺盛な創作活動を続けた。

河鍋暁斎『雨中白鷺図』

河鍋暁斎『鍾馗図』 

河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい)天保2年生まれ。幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、日本画家。明治3年に筆禍事件で捕えられたこともあるほどの反骨精神の持ち主。狩野派の流れを受けているが、他の流派・画法も貪欲に取り入れ、自らを「画鬼」と称した。その筆力・写生力は群を抜いており、海外でも高く評価されている。埼玉県蕨市に曾孫が設立した河鍋暁斎記念美術館がある。