🎬マリリン・モンロー×20世紀フォックス
──映画史の“夢”の時代を額装に込めて
▶ デジタル全盛の時代にこそ心に響く、“物語”と“時代の記憶”を届ける一枚とは?
2020年代も折り返しに差しかかる今、私たちはデジタルの時代に生きています。けれども、心を打つのはいつだって「物語」があるもの。そして「時代」を感じさせるもの。
今回ご紹介する額装は、そんな「物語」と「時代」のエッセンスが凝縮された、まさに一枚の“映画史の記憶”。20世紀フォックスがウォルト・ディズニーに買収され、長年親しまれてきた日本支社も閉鎖されるという大きな節目の中、関係者の手元に残された記念ポスターを、特別な想いとともにお預かりしました。
このポスターに描かれているのは、ハリウッド黄金期の象徴ともいえる女優、マリリン・モンロー。そして背景には、あの有名な「20th Century Fox」のロゴが、まるで舞台装置のように構えています。タイトルのないこの一枚に描かれたのは、ただひとつのメッセージ――それは、「映画の夢を、永遠に」。
■ ポスターに込められた歴史と時代背景
▶ モンローのまなざしの奥にあるのは、映画の黄金期とスタジオの誇り
お預かりしたのは、布製のような質感を持つ、高級感のある記念ポスター。中央には、モンローの代表作『紳士は金髪がお好き(Gentlemen Prefer Blondes)』のワンシーンを彷彿とさせる煌びやかな立ち姿。彼女の周囲を、あの立体的な「20世紀フォックス」のロゴが取り囲み、まるで彼女自身がこのスタジオの女神であったかのような演出です。
背景には、大きく「75」の数字が浮かびます。これはおそらく、1935年に設立された20世紀フォックスの75周年を祝して、2010年ごろに制作されたポスターと推察されます。アニバーサリーイヤーに作られた特別な品であることは間違いありません。
さらに注目すべきは、このような記念ポスターは他にも存在していたという点。『明日に向かって撃て(Butch Cassidy and the Sundance Kid)』『エイリアン』といった名作たちにも、同様の記念デザインがあったそうです。当時は俳優の肖像権・版権が比較的ゆるやかだったため、こうしたビジュアル展開も比較的自由にできた時代。だからこそ、今では考えられないような貴重なビジュアルが残されているわけですね。
■ 額装のご紹介:黄金色のフレームに込めた尊厳
▶ “女神”を迎えるステージを、額縁という舞台装置でカタチにする
ポスターそのものが持つ「映画への敬意」に応えるように、額装にも細部までこだわりました。
まず、フレームには金色の細身の枠を選定。これにより、ポスターの持つクラシックかつ華やかな雰囲気が一層引き立ちます。マットには、表面が焦げ茶色でありながら、断面に黄色のラインが入ったものを合わせました。これにより、ポスターと額装の間に程よいコントラストが生まれ、視線が自然と中心へと導かれます。
使用した額縁は、アルミ製の「内流れ」タイプ。フレームの断面が内側へと向かって流れるような形状をしており、視線が中央――つまり、マリリン・モンローの立つ舞台へとスッと吸い寄せられる効果を持っています。
仕上がった額装は、まるで映画のワンシーンそのもの。スポットライトを浴びたマリリンが、20世紀という時代(Century)の壇上に誇らしげに立つ姿は、黄金時代そのもの象徴です。
■ そしてもう一つの宝物『トラ・トラ・トラ』のレアポスター
▶ 日本映画史とハリウッドが交差する“奇跡の一枚”、次なる額装へ
今回の額装でお世話になったK様より、お渡しの際にもう一枚、とっても貴重なポスターをプレゼントして頂きました。
こちらは、日米合作映画『トラ・トラ・トラ(Tora! Tora! Tora!)』の公開当時のオリジナルポスター。素材は一般的な紙製ですが、なんと、日本側の監督である舛田利雄氏の直筆サイン入りという超貴重な一枚です。
舛田監督は、『人間の証明』『戦国自衛隊』など日本映画史に名を残す名匠。そのサインが入ったこのポスターは、K様にとっても私たちにとっても、まさに「日本映画とハリウッドの交差点」に証です。
このポスターは、これから時間をかけてじっくりと額装に取り組む予定です。モンローの同様に、「映画と時代の記憶」を並べて飾れる額装に仕上げたいと考えております。
■ おわりに:映画の記憶を、額装に宿す
▶ 時代が変わっても、“物語を未来へ渡す”という仕事は変わらない
時代は移り変わり、スタジオも、企業も、技術も変わっていきます。しかし、私たちの記憶に残る「映画」という文化の輝きは、いつまでも色あせません。
そうした文化の記憶を、目に見える「かたち」に変える――それが額装の力であり、私たち雪山堂の使命です。
20世紀フォックスのロゴ、マリリン・モンローの姿、そして『トラ・トラ・トラ』のポスターに宿る時代の空気。それらを一つ一つ、お話を伺いながら、その背景や思い語りを拝聴し、そして丁寧に額装を通じて、お客様の「大切な想い出」に寄り添えること。それこそが、私たちにとって喜びと楽しみです。
皆様の大切な“映画の記憶”も、ぜひ私たちにお預けください。額装というかたちで、未来へと受け継ぐお手伝いをさせていただきます。