
教科書や美術館のポスターで「見たことある」からかもしれません。
では、油絵用の額縁ってどんなの?
額縁選びからセットまでをご紹介致します。
①【サイズ】
最近では、アクリル絵具を使われる方も増えていますが
木枠にキャンバスを張り込んだ
「張りキャンバス」に描かれた作品は
「油縁(油絵用の額縁)」に入れて飾ります。
【油縁(あぶらぶち)の特徴】
「作品が木枠に張られた状態」で額に入れるので
額縁も厚み(深さ)があります。
規格サイズとして「F」「P」「M」と「S」(正方形)で
大きさは「号数」で呼ばれ0号(ゼロゴウ)からはじまります。
(※)額縁はF規格が一般的です。
またSM(サムホール)と言う規格サイズも一般的です。
作品の裏側。木枠を見ると「F6」とか「SM」みたいに
書かれている場合も多いので簡単にサイズがわかる物もあります。
【SM】サムホール(227×158mm)
「P」「M」「S」も規格サイズではありますがお店やメーカーの
在庫として置かれている物は少ないです。
ご注文をいただいてから作る「受注生産」になる物が多く
そもそも「P」「M」「S]の規格で作っていないという額縁もあります。
【特別寸法】
海外で購入した作品や自作の張りキャンバスのように
規格寸法ではない場合。
作品のサイズに合わせた額縁を特別にお作り致します。
②【額縁のデザイン】
パネル貼りの日本画でも油縁が多く使われています。
日本画で使われる油縁はシンプルなデザインが多いようです。
また自宅に飾る油絵もシンプルなデザインを選ばれる方が
昔に比べて多くなってきているようです。
これは「インテリアとしてお部屋に合わせて選ぶ」というのが
目的の1つになっているからです。
なので、作品を何処に飾るか?
から考えて選ぶのもポイントの1つになります。
とはいえ、あくまでも「作品が主役」であり、
作品を引き立たせるのが額縁の役割です。
(さらに言えば作品を味わえる空間が美術館などの役割として設計されています。)
作家さん、もしくは作品のオーナーさんであれば
実物の額縁やコーナーサンプルと合わせてみた方が良いので
↑コーナーサンプル
額縁選びの際には「作品をお持ち下さい」。
自分好みに作品をコーディネートする方がより高い満足度を得られます。
もちろんスタッフも一緒に考えますのでご希望をお伝え下さい。
③【作品のセット】
ここでは、オーソドックスなセット方法と注意点を簡単にご紹介いたします。
大きな作品でなければ油縁へのセットは、それほど難しいものではありません。
↑の作品には吊カンとヒモが付いているのでそのまま飾ることができます。
・・・できます「が」作品が外気に直接触れる「むきだし」状態。
「見る」のには、見やすくてありがたいのだけれども。
汚れやすかったり、痛みやすいというデメリットがあります。
額縁には、作品保護の性能もあります。
そのてんも理解していただいたうえで↓をご覧ください。
最終的にこの形になるようにセットすれば良いということになります。
というだけだとシンプル過ぎるので少しだけ詳しく説明します。
①額縁(フレーム)
作品の外観を良くする事と側面の保護。
②ガラス(ダストカバー)
作品面に汚れがつかないようにしつつ鑑賞することができます。
近年、特に震災後日本ではアクリル仕様が増えています。
アクリルは、ガラスと比べて軽いのと割れても飛び散らないからというのが理由です。
作品保護としては「UVカットアクリル」にすると退色(色あせ)を遅らせる事ができます。
また展示会で「ガラス不可」という所も多いです。
アクリルに傷がつかないように両面保護紙(フイルム)が貼られている物が多いので
保護紙をはがしてお使いください。
※ガラスにも傷がつきにくい等の良い所がありますので
ガラスだから悪いというものでは、ありません。
③イレコ(またはマットライナー)
これがあることによってガラスと作品(表面)に空間ができます。
デリケートな絵具の凹凸に負担がかからないようになります。
④作品
木枠やパネルのサイズが同じ規格寸法でも張られている
キャンバスの素材や張りかた(貼られ方)によっては、きつかったり
がたついたりします。
パネル貼りの日本画は、額内寸法に余裕ができすぎてしまうせいで
片側によってしまいサイン(落款)が見えづらく
なりがちなので、その場合には中性紙などを挟んで調節します。
⑤裏板
裏面保護の部材です。
作品の出し入れが簡単なトンボ(可動金具)が現代では一般的ですが
ネジ止めや完全密閉(めばり)の物もあります。
静電気などでゴミ(ほこり)がはいらないように注意してセットしましょう。
アクリル仕様では帯電防止剤を使うと綺麗にセットできます。
雪山堂では、額縁の販売だけではなく複雑な額装やセットも承っております。
すばらしい作品をさらに良く。 「そんなにたいした物では、ないんです」(←と、おっしゃる方も) 作品の魅力を引き立てる額装をしてみてはいかがでしょうか?