犬養毅。明治時代の政治家、総理大臣にもなり、 5.15事件で暗殺された歴史的な政治家です。 が、一方「木堂(ぼくどう)」の名で書家としても有名です。 今回、その木堂の書の額装を手がけました。 お客様のU様がお持ちの、この書はもう百年近くも前のもので、額自体も古び、ガタが来ていました。 また、書も(ガラスなどが付いていないため)汚れがありました。 それを、書の方は洗いをかけて、表面の汚れや埃を取り除きました。 額の方は、この書にふさわしい額をご用意させて頂きました。 書の洗いは、過度なシミ抜きや、漂白はしません。 それは紙の質を痛めることにもなるからです。 修復は元々の作品の状態に近づける(戻す)作業であり、 過度に手を加えたりするものではないからです。 またこの古い紙質の味わいは、時代を経てきた重みが感じられます。 表装は本金箔を使用しました。 額縁も良い素材のものを使い、より一層味わいと深みが増したと思います。 これから数十年も長く、ご鑑賞して頂ける事でしょう。 こうした貴重な木堂の書を拝見できて、幸せなひと時を頂けたことに感謝です。 U様有難うございました。 因みに、犬養毅の子孫には、犬養道子(作家)、緒方貞子(元国連難民高等弁務官)、安藤和津 -(女優、エッセイスト)がいますね。